前編に引き続き、【脱サラ農業の教科書】から就農する為のステップを紹介していきたいと思います。
まずは簡単におさらいしましょう。
前編までのステップおさらい
【第1ステップ】
理想のライフスタイルをイメージし、「なぜ農業か?」について自分の中で掘り下げ、やりたい作物・地域・やり方などの方向性を決定する。
【第2ステップ】
農業に関する情報を集める。
インターネットや書籍、役所などから情報をかき集めるが、出来るだけ現場に近い本物の情報が重要。
【第3ステップ】
農業体験などで、実際に体を使って農業とのフィーリングが合うかどうか確かめる。
【第4ステップ】
農業シミュレーションを行い、計画と実際がどれくらいかけ離れるものかを体感してみる。
以上の4つでしたね!
まだ出来てなくても、問題ありません!
ひとまず就農までの全体像を把握する事が目的なので、第5ステップ以降も一緒に学んでいきましょう!
【第5ステップ】営農計画づくり
まず「営農計画とは何なのか?」ということですが、著者は”理想の生活を数字に変えたもの”と言っています。
その理想の生活を送るためにはどのくらいのお金が必要なのか、どうやってそのお金を生み出すのか、そしてどのように継続していくのか、などを計算してまとめたものになります。
なので、営農計画はライフスタイルがある程度見えてきた段階で、なるべく早い時期から取り組むとよいです。
営農計画に関しては、それだけで1記事書けるほど長くなってしまうので、詳しい作成方法はまた別の機会に記事にしたいと思いますが、色々な新規就農本には必ずと言っていいほど言及されています。また、農地を探す時や役所で手続きする時にも、自分の営農計画を説明する機会がたくさんあるので、その時に自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
また、本によって計画の作成方法が異なりますが、本筋ではやっていることは同じです。主に以下のことを計算して数字に落とし込んでいく作業です。
- 何人でやるのか?
- 農地の想定面積は?
- 初期投資にいくらかかるのか?
- 資金の調達方法は?
- 何をいつ作付けするのか?
- 販路はどうするか?
- 販売単価は?
- 想定する売り上げは?
- 経費は?
- 儲けはいくらか?
【第6ステップ】農業研修を受ける
”本物の情報”は現場にしかありません。
農業研修を受けることで、現場の”本物の情報”を知ることができます。
農業研修を受ける際に最も大切な事
農業研修については、まずは「何のために農業研修を受けるのか?」という研修目的をはっきりとさせることが最も大切になります。
たとえば「栽培技術を身に付けたい」、「農家の経営を知りたい、生活を知りたい」、「その地域に入り込みたい」、「農地を紹介してほしい」など目的は様々です。その目的に合致した研修先を選ぶのが理想です。
農業研修の形態
研修にはいくつか種類があります。本書では研修を2つに分類して紹介していました。
それぞれの特徴や内容、研修先の探し方などは以下の通りです。
①雇用研修
- 研修先:個人または法人の農家
- 研修日:平日フルタイム
- 探し方:都道府県が主催する就農相談会や就職情報を扱う民間企業
- メリット:働いてお金をもらいながら学ぶことができる
- デメリット:今の仕事は辞めなければならない、研修先の作物しか学べない
自分がやりたい作物やライフスタイルがすでに決まっていれば、それと同じ作物、同じようなライフスタイルで経営している農家さんを探して研修を受けるといいでしょう。
②研修プログラム
- 研修先:農業大学校、県や市の施設、民間企業など
- 研修日:研修先によるが、週末だけのコースなどもある
- 探し方:県や市のホームページやハローワークなど
- メリット:土日だけのコースなら会社を辞めずに参加できる、業務全般の知識が得られる
- デメリット:農業経営をしていない方が講師の場合もあり、「本物の情報を得る」という意味では少し物足りない。
まだ何を作ろうか決まっていない人は、農業を幅広く学べるこちらがオススメです。しかしまた、会社を辞めずに研修を受けれるというメリットは大きいです。
自分の目的を考え、それに合うプログラム、講師などを選んで参加してみてください。
研修先の選び方・研修の順番
研修先を選ぶ前にまずは目的をはっきりさせましょう。目的をはっきりさせてから、その目的を満たせそうな研修先を探すのが基本となります。
しかし、まだ目的も何もわからないという場合や、情報を集めることが目的という場合は、農業全般について教えてくれるような各種の農業研修プログラムから入るのがオススメです。
雇用研修は、農業に関する知識や技能がある程度得られてからでも遅くはありません。会社を辞めなければならないというリスクは大きいので、自分が作りたい作物や農業スタイルが明確になってからの方がよいでしょう。
まとめると以下のようになります。
「栽培技術の習得」、「情報収集」、「人脈を広げる」など
ここで農業全般の知識や技術を習得する
どんな作物を作るのか、一人でやるのか人を雇うのか、露地栽培か施設栽培かなど
自分が理想とする農業スタイルと同じか、できるだけ似かよった研修先を探す
いつでも引き返せるように、会社を辞めるのはギリギリまで後に延ばしましょう
また、研修先には倉庫や作業所、トイレ、休憩所は当たり前にあるかもしれません。しかし、脱サラ農家には何もありません。そこもよく考慮しながら独立を目指してください。
私の場合、何かを学ぶときは、基礎から体系的に勉強していきたい性格なので、農業大学校での研修を考えています。
栽培技術はもちろん、人脈も広がりそうなので、自分の研修目的も満たせそうです。
農地探し(脱サラ~就農へ)
昨今、耕作放棄地の問題や農家の高齢化などがメディアで取り上げられています。そういった現状から、簡単に農地は見つかると思ってしまいそうですが、実際はすぐには見つかりません。見つかるまでに数年かかる場合あります。
農地探しは時間がかかるので、なるべく早い段階からとりかかりましょう。
農地探しの方法
農地探しの方法については決まったルールなどはないため、自分ができる方法で地道に探していくしかありません。
以下に農地の探し方を紹介するので、自分に合った方法を見つけて実践してみてください。
①紹介を受ける
知人の農家さんや研修先農家さんなどから紹介を受ける方法です。
人からの紹介なので、当然自分が信用に足る人物でなくてはなりません。研修先では手抜きなどせずに精一杯頑張って信用を勝ち取ってください。
また、紹介してもらった後も、”紹介者さんの地域での信用をお借りしている”ということを絶対に忘れてはいけません。
②役所に相談する
就農を希望する地域の市町村役場に相談する方法です。
現状では、紹介してくれるところもまだまだ少ないですが、場所によっては積極的に紹介してくれる地域もあるそうです。
なので、選択肢の一つとしては持っておきましょう。
また、役所に相談する場合は営農計画を作っておいたほうが親身になってくれるので、相談しに行く前に作っておきましょう。
役所側からしても「水の確保」や「畑の面積」などの情報を教えてもらわないと紹介できないので、想定する面積、気象条件、場所などを考え、これらを仮定して営農計画を作成してみてください。
③農地バンクに登録する
2014年に全国各地に農地中間管理機構(農地バンク)が設置されたことで、国が農地の仲介を行うようになりました。
今のところは案件も少ないようですが、新規就農者でも登録できるので、念のため登録しておくのも良いかと思います。
④不動産屋さんで探す
農地だけの紹介は少ないですが、農地付きの古民家を扱っている不動産屋さんもあるので足を運んでみてもよいでしょう。
また、各自治体でも農地付き物件を紹介しているところもあります。
農地とともに住居も探している人にとってはかなり良い選択肢だと思います。
⑤競売物件を探す
競売物件であればインターネット上に情報があるので見つけやすいでしょう。
ただ、”農地的確証明書”というものが必要になりますので、農業委員会に申請して取得しておかなければなりません。
農業委員会によっては新規就農者には発行しない地域もありますので、事前に問い合わせてください。
また、農地の使用権ではなく所有権を買う事になるので、農地にはすでに使用者がいる場合もあります。十分な下調べを行ってください。
⑥その他の方法
著者の知り合いでは”自分でビラを作り、1軒1軒、農家さんを回る”という方法や”空いてそうな農地を見て、登記簿から地主さんを調べて直接連絡した”という方もいるそうです。
ここまでできるのは、すごい熱意と行動力です。ただし、くれぐれも失礼のないよう注意してください。
非農家出身者は、農地探しが1番大変と言われていますよね・・・。
それにしても、”農地付きの古民家”は盲点でした。農地を探す段階になったらこの辺りも選択肢に入れていきたいと思います!
会社を辞めるタイミング
いつ会社を辞めればよいのかについてですが、1番よいタイミングは”農業が軌道に乗ってから辞める”です。
しかし、今の法律では農地を借りる(買う)には原則として”農業に常時従事すること(およそ年間150日以上)”とされているので、農業と会社を両立させていくのは難しいことになります。
対応策としては、仲間と一緒に会社を作り農業をするのであれば、農地は仲間に借りてもらえれば、会社との両立は可能になります。
また裏技的な方法として”農地を貸してくださる農家さんから一定期間農作業の受託をする”というのもアリです。
この場合、農地を借りるわけではないので農地法の許可は不要です。会社が休みの日にだけ農作業をすることができます。
農業というのは、種を植えてから収穫し販売するまでが無収入になってしまうので
会社を辞める時期は可能な限り遅くするのが望ましいと著者は言っています。
焦らずにじっくり準備し、あなたの理想とする農業を目指してください。
農作業を受託するという方法は、本当にどうしようもなくなった時のために、覚えておきましょう!
所感
就農までの全体像は把握できたでしょうか?
やる事が多くて忙しいですが、全体像さえ見えれば、後は1つ1つクリアしていけばいいだけなので、なんとかやっていけそうではありませんか?
また、自分が今どの位置にいるのかを常に把握し、次にやる事が明確であれば、必ず道は開けると思います。
ちなみに私は1年以上の期間をとっているので、まだ数日後に第3ステップに入るくらいのところです。
中々険しい道のりだとは思いますが、なんとか頑張っていきたいと思います。
皆さんも頑張ってください!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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