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農業関連

1年でムリなく就農できる7つのステップ |前編【脱サラ農業の教科書】

就農に関して調べていると色々な事が分かりますよね。農地の取得方法や経営計画の立て方・農業研修先の見つけ方など・・・。
でも同時にこうも思いませんでしたか?

個々のやるべき事は分かったけど、どういった順番で進めていくの!?
結局1番最初に何をすればいいの!?


新規就農本は”就農した後にどうやって食べていくのか”について書かれている本が多いので、実際にゼロから就農までの全体像を把握出来ている方は少ないのではないでしょうか。


そこで今回は、就農に向けて取るべき行動を7つのステップとして順番に解説をしている新規就農本「脱サラ農業の教科書(田中康晃 著)を紹介します。

この本を読めば、就農までに何をやるべきかの全体像が把握でき、今自分がどの段階にいるか、これからどういう手順で就農までのステップを進めていけばよいのかが分かるようになります!

いうなれば、就農までの地図のようなモノです!
あなたもこれを読み、自分が今どこの位置にいるかを確かめてみてください!

長くなってしまったので、前編・後編で分けています!
是非最後までお読みいただければと思います。では参りましょう!

本の概要

この本には、就農する為のステップだけではなく、脱サラ農家が知っておくべきことや脱サラ農家の強みを生かす農家経営術などが書かれています。
脱サラ農家を目指している方がまず初めに知りたい情報が広く載っているので、とっかかりとしてはちょうど良いと思います。
章ごとの目次は以下の通りです。

  • 第1章:1年後にムリなく就農できる7つのステップ
  • 第2章:ゼロから農業を始める前に知っておくべきこと
  • 第3章:脱サラ農業6つの壁を超える実践ノウハウ
  • 第4章:強みを生かす脱サラ農家の経営術
  • 第5章:ライフスタイル別農業モデル
  • 第6章:幸せな脱サラ農家が増えるために必要なこと

今回は、第1章の”1年後にムリなく就農できる7つのステップ”から抜粋して記事をまとめました!

第2章や第3章も役に立つ情報が詰まってますので、就農を目指し始めた方にはオススメの1冊だと思います。

1年後に就農するために必要な7つのステップ

フローチャート

まず上の画像をご覧ください。

これが、これから紹介する”就農する為の7つのステップ”のフローチャートです。
このフローチャートは、目標を【1年】と定めた上でのチャートになるので、あなたの準備期間に応じて長くしたり短くしたり適宜調整してみてください。

【第1ステップ】理想のライフスタイルをイメージする

まず、就農準備を開始してから6か月目までに終えておいてほしいのは、

「なぜ、農業か?」

これを徹底的に掘り下げて、答えを出しておくことです。

農業を始めるのは手段にすぎない

農業を始めること・農家になること自体が夢や目標になっていないでしょうか?
もしそうであり、そのために転職を考えているのであればとても危険です。なぜなら“農業はただの仕事”だからです。
みんな望むものは「今より幸せになりたい」ということです。そしてその”幸せになる手段”として、なぜ農業をするのかが重要になってきます。
それを掘り下げて考えることで、本当に望むものが見えてきます。

例えば、「田舎で暮らしたい」ということであったり、「独立起業がしたい」ということであったり、「農業を周りから支える仕事がしたい」ということであったりと、農業を志した人が誰しも”本当に農業がやりたい”と思っているかどうかは分かりません。農業に興味があっても、その本質が実は別のところにある場合もあります。
脱サラして農業を始めたけれど、なんかイメージと違う、前の方が良かった、とはならないように「なぜ、農業か?」についてしっかりと自分の心を深堀りしてみてください。

「なぜ、農業か?」がライフスタイルになる

「なぜ、農業か?」はハッキリしてきたでしょうか?

「家族と一緒に過ごす時間を大切にしたい」、「安心・安全な食べ物を確保したい」、「自然の中で生活したい」、「ものづくりがしたい」など人によってそれぞれあると思いますが、まさにそれが理想のライフスタイルになります。
そしてそのライフスタイルに優先順位をつけ、なるべく順位が高いものから実現できるような農業を模索していくことになります。

例えばビニールハウスで小松菜やホウレンソウを栽培する場合は、年間ほぼ毎日早朝から出荷作業をする”農業中心のライフスタイル”になります。
一方で果樹農家では、繁忙期は日の出前から収穫作業をしますが、収穫期以外は半年間ほぼお休み。その間は”家族中心のライフスタイル”にできるかもしれません。

作る作物や作り方、地域などによりライフスタイルも一人一人変わってきます。
これから情報収集や農業研修などを通じて自分のライフスタイルに合った農業を見つけてください。

確かに私も、”農業をやろう!”と思ってから、それがゴールになってました。
「なぜ農業か?」が大事なんですね!
私の場合は、”働く時間を自分で決めたい”や、”エンドユーザーと繋がりたい”などです!

【第2ステップ】情報を集める

次のステップは農業に関する情報を集めることです。
とはいうものの、今まで農業とは縁がない脱サラ組の方は「何から手を付ければいいかわからない」ことと思います。
この本の著者も当初は「自分が何を作りたいのか?」「何のための農業なのか?」がよく分からないまま場当たり的に役所や相談窓口へいって”門前払い”を受けています。
まずは情報集めをする前の準備をしましょう!

情報集めをする前の準備


重要なのは、【知りたいことを知るための視点、質問の相手、質問の仕方】です。

例えば、”この地域に暮らすこと”が理想のライフスタイルだった場合は、「この地域で農業をして暮らしていくためには、何をどのくらい栽培すればよいのか?」が欲しい情報になります。
そうすると、”この地域で栽培できる作物を知る”ということが必要になり、地域の農業をよく知っている”行政の窓口や地域の方に聞く”という方法が考えられます。
ところが、同じ質問を別の作物を栽培している農家さんや、法手続きを受付する農業委員会などに聞いても場合によっては偏ったり、間違った回答を得ることになるかもしれません。

”誰に何をどう聞くか?”をあらかじめ考えておくことで、場違いな質問をしてしまったりや間違った回答を受けることも少なくなります。

本物の情報を得る

「本当に役に立つ”本物の情報”を意識して得ていきましょう」と著者は言っています。
著者のいう本物の情報とは、”自身のこれからの進路を判断するのに対して、判断材料の重要な要素になりうる現場の実際(生)の情報”とのこと。
つまり、現場に近いところからの情報ほど本物度が高くなるという事です。

これから情報を集める中で、色々な人に話を聞くと「農業は儲からないからやめておきなさい」などと言われることも沢山あると思います。
逆に、「○○(野菜や果物)をやると儲かるよ」などと言われることもあります。
その時は「その情報を発信したのは誰なのか?」ということは必ず確認してください。

仮に、行政の就農相談窓口の担当者からの情報だとしても、その方は実際に現場で農業経営をしているわけではありませんので、その分は差し引いて聞く必要があります。
また、儲かるという情報が実際にそのモノを作っている農家さんだったとしても、地域が違えば条件も変わってくるので、すぐ鵜呑みにするのではなく、一旦その地域の情報として持っておき、後で自分の地域でもその作物が作れるのか・需要はあるのかなどを考えていくといいでしょう。

統計データから読み解く

農林水産省のホームページにある統計データを参考にする人も多いかと思います。
ここで気を付けたいのは、単純に所得や労働時間だけで判断しないということです。

やはり、単価が高く年間の農業所得が多いものは、その分労働時間が多く手間がかかります。
当然逆も然りです。
なので、所得や労働時間だけで判断するのではなく、小規模農家でもメリットが出るのか・その作物の需要が上がっているのか下がっているのか・安定して栽培できるのかどうかなど、総合的に判断していくことが重要です。

私のように、まだ農業未経験者の方は数字だけ見ても正直あまりイメージが湧かないと思います。
なので、この時点ではザックリ「これなら出来そうだ」「自分のライフスタイルに合いそうだ」くらいに思っておけばいいと思います。
実際に農業体験や研修を行っていく過程でイメージ出来るようになっていくと思います。

【第3ステップ】農業体験・農家見学に行く

次は「体」を使って情報を集めます。

農業体験をしてみる

実際に畑や田んぼで農業体験をしてみましょう。
「自分でも農業をやれそうかどうか?」を確認しておく意味でも、実際に体験しておくことは大事です。
土の触感や匂い、虫の鳴き声、大自然の空気の美味しさなど五感をフルに使って、農業とフィーリングが合うかどうか感じ取ってみてください。


別の記事で、農業インターンシップ制度などについて紹介しておりますので是非参考にしてみてください。↓
参考:農業インターンシップ制度!?

農家見学をする

いろいろな農業を見る(知る)ことはとても重要!ということで、本書では農家見学も推奨しています。
栽培方法や販売方法などはもちろんですが、「ビジネスモデルとしてどうなっているか」=「どこで収益を上げているのか」に注目すると良いです。


気になる農家さんにいきなり「話を聞かせてください。農場を見せてください!」というのは失礼ではないかと気が引けますが、著者自身、いまだに飛び込みでいろいろな農家さんのところにお邪魔しているそうです。
正直に「就農を考えています」「貴社の農業がとても素晴らしいと感じ、何かヒントにできればと思いました。ぜひ見学させてください」と熱意を伝えれば、案外受け入れてくださるとのこと。(ただし、大抵の農家さんは午前中は忙しくしています。仕事の邪魔にならないような時間に連絡してみてください。)

頭だけではなく”体”で体験することがとても重要なんですね。
農家さんへの飛び込みは少々ハードルが高いですが・・・w
しかし、ここまで出来る方は当然就農にもかなり近づけるでしょう。
勇気と覚悟がある方はぜひチャレンジしてみてください!

【第4ステップ】農業シミュレーション

情報集めを進めて行くとイメージばかりが先行し”頭でっかち”になる危険があります。そこで、情報やイメージを具体化して”頭の中と体の感覚を近づけるプロセス”のひとつが農業シミュレーションです。
農業シミュレーションで確認すべきことは”栽培”と”経営”の2つです。

農業シミュレーションの結果、「農業はやめておこう」となるかもしれません。
いつでも引き返せるようにまだ会社は辞めず、休みの日を使ってシミュレーションを行いましょう。
農業はあくまで”幸せ”を得る為の手段でしかありません。時には”引き返す”ということがその人の”幸せ”に繋がる場合もあるのです。

栽培シミュレーション

栽培シミュレーションでは、自分が育てたい作物を育てましょう。
しかし、環境が整わなかったり、まだ作りたい作物のイメージが無い場合は、「自分の好きな作物」や「所得が高い作物」などで構いません。
場所も、貸し農園が近くになければ、自宅の庭やプランターで十分です。
このシミュレーションの最大の目的は「頭でっかちな情報と体の感覚とを一致させる」ことだからです。
栽培については、ただ栽培するのではなく、自分なりに計画を立て実行し、計画通りにできたかをチェックします。そして問題があれば改善していきます。
栽培方法は人に聞いたり、書籍やインターネットで調べて栽培していきましょう。

この栽培シミュレーションを通して、実際「植物がどれくらい自分の計画通りに育たないか」「栽培するための手間暇がどのくらいかかるのか」などの感覚を掴みます。

経営シミュレーション

こちらも栽培シミュレーションと同じように、計画を立て実行し、チェックし改善をしていきます。
あらかじめ使用するであろう肥料代や水代、労働時間などを予測して計画を立て、実際の栽培シミュレーションで使用した肥料代や面積当たりの土地代、水代や苗代、そして労働時間などの経費がどれくらいかかったのか差を確認してみましょう。
そして、実際に収穫できた作物を”全国平均の販売単価×収穫量”のように、仮の売上金額を計算してみてください。

規模が小さい為おそらくは赤字になりますが、改善できるところがあれば改善してみましょう。
改善まではできなくとも1度でもシミュレーションしてみるとずいぶんとイメージがはっきりしてくるはずです。

著者は、”まず計画する”という事が大切だと言っています。
計画をすることにより、”頭の情報”と、”体を使って実行した結果”の差が見えてくるということなのですね!

所感

前編で一番大切なことは、”理想のライフスタイルをイメージする”ことだと思います。
この本でも、第1ステップとは言いながらも、最長で半年もの時間をとっていることからも、いかに大切かがうかがえます。

理想のライフスタイルを考え、その為になぜ農業か?を考える。
まずは進む方向をはっきり決めないと、土台がブレブレになってしまい、進む力も弱くなってしまう。
そんなことを学べたと思います!

残りのステップは、後編でお楽しみください!
お読みいただきありがとうございました!

後編はこちら→1年でムリなく就農できる7つのステップ |後編【脱サラ農業の教科書】

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